
「市街化調整区域だけど、50戸連たんに該当するから家は建てられる」
これまで岡山市では、そんな説明を受けた方も多いのではないでしょうか。
しかしその前提が、令和8年3月31日をもって使えなくなります。
岡山市では、50戸連たん制度による開発許可が廃止されることが決まっています。
この記事では、
・50戸連たん制度とは何だったのか
・なぜ廃止されるのか
・これから市街化調整区域で家を建てたい人が注意すべき点
を、できるだけ分かりやすく整理します。
目次
50戸連たん制度とは?|調整区域でも家を建てられた理由
50戸連たん制度とは、
市街化調整区域であっても、一定の条件を満たすエリアであれば、
自己用住宅などの建築を認める例外的な制度でした。
具体的には、
- おおむね50戸以上の建物が
- 一定の距離(概ね55m以内)で連続している区域
であれば、
👉 市街化調整区域でも開発許可を受けられる可能性があった、という制度です。
そのため岡山市郊外では、
「調整区域だけど家が建つ土地」
として流通してきたケースも少なくありません。
なぜ50戸連たん制度は廃止されるのか?
岡山市が制度廃止に踏み切った理由は、家を建てさせないためではありません。
大きな背景は、次の3つです。
① 市街地の無秩序な拡大を防ぐため
調整区域で住宅が増え続けると、
道路・上下水道・公共交通・学校などの維持コストが増大します。
結果として、
👉 住みにくい街になってしまうリスクが高まります。
② コンパクトな都市づくりへの転換
岡山市では、
人が集まるエリアに機能を集約する「コンパクトシティ」の考え方を進めています。
50戸連たん制度は、
この方針と合わなくなってきた、というのが実情です。
③ 他自治体でも同様の見直しが進んでいる
岡山市だけでなく、
近隣自治体でも同様の制度廃止・縮小が進んでいます。
👉 今後は「調整区域で家を建てやすい時代」ではなくなる
という流れは、全国的な傾向です。
廃止スケジュール|いつまで使えるのか?
ここは特に重要なポイントです。
- 令和8年3月31日まで
→ 50戸連たん制度による開発許可申請が可能
上記に間に合わせる場合は、令和7年12月26日までに事前協議を提出していることが条件となります。
この事前協議が厄介で、お家を建てたい方を募集したうえで、概算の図面や賃貸借契約書、住民票、市街化調整区域でお家を建てる理由書などを添付して申請する必要があります。
- 令和8年4月1日以降
→ 50戸連たん制度は使用不可
注意したいのは、
👉 「相談」ではなく「申請」が基準になる点です。
「まだ時間がある」と思っていても、
事前協議・図面作成・農地転用などを考えると、
実質的な猶予はそれほど長くありません。
廃止後は市街化調整区域に家は建てられない?
結論から言うと、
👉 原則として、かなり厳しくなります。
ただし、以下のような例外は残ります。
・既存宅地
すでに宅地として認められている土地は、
一定条件のもと建築が可能です。
・20戸連たん制度(対象地域限定)
人口減少が進む一部地域では、
20戸連たん制度が新たに設けられています。
ただしこれは、
✔ 対象エリアが限定的
✔ 自己用住宅に限られる
など、50戸連たんの代替制度とは言えません。
自己用住宅でも「必ず建てられる」は誤解
よくある誤解が、
「自己用住宅なら調整区域でも大丈夫」という考え方です。
実際には、
- 農地転用の可否
- 農地の種類(甲種・第1種など)
- 都市計画法上の許可
- 周辺環境との調和
など、複数の条件をすべて満たす必要があります。
👉 「親の土地だから」
👉 「周りに家が建っているから」
という理由だけで判断するのは、非常に危険です。
農地転用・農地の種類も深く関係します
市街化調整区域で家を建てる場合、
農地転用が可能かどうかは避けて通れません。
- 甲種農地・第1種農地 → 原則、転用不可
- 第2種・第3種農地 → 条件次第で可能
この基礎知識を知らないまま進めると、
「建てられると思っていたのにダメだった」
という結果になりがちです。
※農地転用や農地の種類については、
こちらの記事で基礎から解説しています。
→(農地転用とは?【岡山市で農地を売却・活用したい方の基礎知識】|株式会社トリプルギブ)
土地購入・家づくりで失敗しないために
50戸連たん制度の廃止によって、
これから特に注意したいのが次の点です。
- 「建てられる前提」で土地を契約しない
- ハウスメーカーや不動産会社の説明を鵜呑みにしない
- 必ず行政判断を確認する
契約後では取り返しがつかないケースもあります。
まとめ|制度を知らない家づくりはリスクが高すぎる
岡山市では、
長年使われてきた50戸連たん制度が廃止されます。
これは、
✔ 特定の人だけの話ではなく
✔ これから土地探しをするすべての人に関係する話
です。
「まだ具体的じゃないから」
「とりあえず土地だけ見ている」
その段階こそ、一番相談すべきタイミングです。
岡山市で市街化調整区域の土地を検討している方へ
いえダネでは、
・農地転用ができるかどうか
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